古典和歌stream

同じくは整へて葺けあやめ草
さみだれたらば漏りもこそすれ

歌の意味
同じことなら、きちんと整えて軒に葺きなさい、あやめ草を。乱れたままで五月雨が降ったら、雨漏りもするといけないから。
鑑賞
巻第二 夏歌 133

 どうせ葺くのなら、あやめ草をきちんと整えて軒に葺きなさい、乱れていると五月雨のときに雨漏りがするといけないから、と詠む歌である。「さみだれ」に五月雨と「さ乱れ」を掛け、端午の節句の風習を戯れに詠んでいる。
 本巻の第百二十七首から第百三十四首までは、五月五日の端午の節句に軒に葺いたり、根の長さを競ったりしたあやめ草の歌が続く。

 初句「同じくは」は同じことならの意で、どうせ葺くのならという気持ちを示す。
 二句「整へて葺け」は整えて葺けの意の命令で、二句で句切れとなる。結句の「さみだれ」の乱れる意と対比されている。
 三句「あやめ草」は葺く対象で、倒置の形で置かれている。
 四句「さみだれたらば」の「さみだれ」は、五月雨と、乱れる意の「さ乱る」とを掛けた掛詞である。
 結句「漏りもこそすれ」の「もこそ」は懸念を表し、雨漏りがするといけないの意となる。係助詞「こそ」を受けて已然形「すれ」で結んでいる。

ふく:屋根を覆う。端午に菖蒲を軒に葺く
さみだる:「五月雨」と、乱れる意の「さ乱る」を掛ける
もる:雨が漏る
出典
金葉和歌集
前の歌
あやめ草淀野に生ふるものなれば ねながら人は引くにやあるらむ
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あさましや見しふるさとのあやめ草 我が知らぬ間に生ひにけるかな