夜もすがらはかなく叩く水鶏かな
させる戸もなき柴の仮屋を
- 歌の意味
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一晩中、むなしく戸をたたくように鳴く水鶏であることだ。閉ざした戸さえない柴の仮小屋であるのに。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 143
閉ざした戸もない粗末な柴の仮小屋なのに、水鶏が一晩中戸をたたくように鳴き続けるのはむなしいことだ、と詠む歌である。たたく戸もない住まいと、たたき続ける水鶏の声とを対比し、わびしい夏の夜を描いている。
前歌の第百四十二首も水鶏が戸をたたくと詠み、二首で水鶏の歌をなしている。前歌が里ごとにたたく声を詠むのに対し、本歌は一軒の仮小屋に焦点を絞っている。
初句「夜もすがら」は一晩中の意で、水鶏の鳴き続ける長さを示している。
二句「はかなく叩く」は、むなしくたたくの意で、たたく甲斐のないことをいう。
三句「水鶏かな」は水鶏であることだの意で、終助詞「かな」で詠嘆する。ここで句切れとなる三句切れの歌で、下の句は倒置となっている。
四句「させる戸もなき」の「させる」は戸を閉ざした意で、閉ざした戸もないの意となる。
結句「柴の仮屋を」は柴で作った仮小屋をの意で、二句の「叩く」の対象を最後に示している。
さす:戸を閉ざす
しば:山野に生える小さな雑木や、その枝
かりや:仮に作った粗末な小屋
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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里ごとに叩く水鶏の音すなり 心のとまる宿やなからむ
- 次の歌
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夏衣裾野の草を吹く風に 思ひもかけず鹿や鳴くらむ