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沢水に火串の影の映れるを
二ともしとや鹿は見るらむ

歌の意味
沢の水に照射の火串の火影が映っているのを、鹿は照射が二つあると見ているのだろうか。
鑑賞
巻第二 夏歌 146

 夏の夜、鹿を狩る照射の火が沢の水に映っているのを、鹿は照射の火が二つあると見ているのだろうか、と思いやる歌である。水に映る火影という美しい景を、鹿の目から見たおもしろさとして詠んでいる。
 照射は夏の夜に松明をともして鹿をおびき寄せて射る狩りで、夏の歌の題材とされた。次歌の第百四十七首も照射を詠み、二首で照射の歌をなしている。
 本文には作者名が記されていない。

 初句「沢水に」は沢の水にの意である。
 二句「火串の影の」の「火串」は照射の松明を挟んで立てる串で、「影」はその火の光である。
 三句「映れるを」は映っているのをの意で、「る」は存続の助動詞「り」の連体形である。
 四句「二ともしとや」は照射の火が二つあるとの意で、実際の火と水に映った火とを鹿が見まちがえるという想像である。係助詞「や」が結句の「らむ」と係り結びをなす。
 結句「鹿は見るらむ」の「らむ」は現在推量の助動詞で、鹿の心を推し量っている。本巻の第百四十四首、次歌の第百四十七首にも鹿が詠まれている。

ほぐし:照射の松明を挟んで立てる串
ともし:夏の夜に松明をともして鹿をおびき寄せて射る狩り。照射
さはみづ:沢の水
出典
金葉和歌集
前の歌
風吹けば蓮の浮葉に玉こえて 涼しくなりぬ蜩の声
次の歌
鹿立たぬ端山が裾にともしして いく夜かひなき夜を明かすらむ