水無月の照る日の影はさしながら
風のみ秋の気色なるかな
- 歌の意味
-
六月の照りつける日の光は差したままなのに、風だけはもう秋の様子であることだ。
- 鑑賞
-
巻第二 夏歌 153
陰暦六月の照りつける日差しはまだ夏のままなのに、吹く風だけはもう秋のようである、と詠む歌である。夏の終わりに、まず風から秋が訪れることを、日の光と風との対比によって表している。
巻末に近づき、夏から秋への移ろいを予感させる歌が続く。本巻の第百五十五首でも、水際の風の涼しさに秋の到来が感じ取られている。
作者の「忠通」は、藤原忠実の子で摂政関白太政大臣に至った藤原忠通である。法性寺関白と呼ばれた。漢詩や書にもすぐれた。
初句「水無月の」は陰暦六月のことで、夏の最後の月である。
二句「照る日の影は」の「影」は光の意で、照りつける夏の日差しをいう。
三句「さしながら」は差したままなのにの意の逆接で、日差しはまだ夏であることを示す。
四句「風のみ秋の」は風だけは秋のの意で、副助詞「のみ」が日の光との対比を際立たせている。
結句「気色なるかな」は様子であることだの意で、終助詞「かな」で詠嘆している。
みなづき:陰暦六月
けしき:様子、ありさま
- 作者
-
藤原忠通
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
玉櫛笥二上山の木の間より 出づればあくる夏の夜の月
- 次の歌
-
夏の夜の月待つほどの手すさびに 岩もる清水いく結びしつ