禊する水際に風の涼しきは
一夜をこめて秋や来ぬらむ
- 歌の意味
-
夏越の禊をする水際に吹く風が涼しいのは、この一夜のうちに秋がやって来たからだろうか。
- 鑑賞
-
巻第二 夏歌 155
六月の晦日に夏越の祓の禊をする水際の風が涼しいのは、一夜のうちに秋がもう来たからだろうか、と詠む歌である。夏の最後の日の行事に、翌日から始まる秋の気配を感じ取っている。
本歌は巻第二夏歌の巻末歌であり、巻頭の第九十四首が過ぎた春を惜しんで夏を始めたのに対し、来たる秋の気配を感じて巻を閉じている。本巻の第百五十三首の「風のみ秋の気色」とも響き合い、風によって秋を知る趣向で夏の巻を結んでいる。
初句「禊する」は禊を行うの意で、ここでは六月の晦日に行われる夏越の祓を指している。
二句「水際に風の」は水際に吹く風ので、禊の場の涼しさを示している。
三句「涼しきは」は涼しいのはの意で、下の句でその理由を推し量る構成である。
四句「一夜をこめて」は一夜のうちにの意で、夏越の祓の夜が明ければ秋になることを踏まえている。
結句「秋や来ぬらむ」は係助詞「や」と現在推量の「らむ」が結び、秋が来たからだろうかと原因を推し量っている。「ぬ」は完了の助動詞である。
みそぎ:水で身を清めて罪や穢れを除くこと。ここでは六月晦日の夏越の祓
みぎは:水際
こむ:ある期間のうちに含める
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
夏の夜の月待つほどの手すさびに 岩もる清水いく結びしつ
- 次の歌
-
とことはに吹く夕暮の風なれど 秋立つ日こそ涼しかりけれ