- 歌の意味
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真葛の這い広がる阿太の大野に置いた白露を、吹き乱さないでくれ、秋の初風よ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 157
葛の這う広い野に置いた白露を、秋の初風よ、吹き散らさないでくれ、と呼びかける歌である。秋の訪れとともに置き始めた白露の美しさと、それを惜しむ心が、初風への願いの形で表されている。
前歌の第百五十六首が立秋の日の風の涼しさを詠んだのを受け、本歌はその秋の初風に呼びかけて、秋の初めの二首をなしている。
作者の「仲正」は、源頼綱の子で兵庫頭に至った源仲正である。源頼政の父で、堀河天皇の時代から歌人として活動した。
初句「真葛はふ」は葛が這い広がるの意で、「真」は美称の接頭語である。秋の野の景を示している。
二句「あだの大野の」の「あだ」は大和の地名の阿太に、はかない意の「徒」を響かせた掛詞で、すぐに消える白露のはかなさを暗示している。
三句「白露を」は野の草葉に置いた露で、秋の初めの景物である。
四句「吹きな乱りそ」は「な〜そ」の形の禁止で、吹き乱さないでくれの意となる。ここで句切れとなる四句切れの歌で、結句は倒置となっている。本巻の第二百三十七首の「露吹き乱る秋風」は、本歌の願いに反して露を吹き乱す風を詠んでいる。
結句「秋の初風」は秋の初めに吹く風で、呼びかけの対象を体言止めで示している。
まくず:葛の美称
あだ:大和の地名の阿太に、はかない意の「徒」を掛ける
はつかぜ:その季節の初めに吹く風
- 作者
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源仲正
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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とことはに吹く夕暮の風なれど 秋立つ日こそ涼しかりけれ
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万代に君ぞ見るべき七夕の 行き合ひの空を雲の上にて