藤衣忌みもやすると七夕に
貸さぬにつけて濡るる袖かな
- 歌の意味
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喪服は忌み嫌われもするかと思って織女に貸さないでいるにつけても、涙に濡れる袖であることだ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 160
喪に服している身なので、喪服は忌まれるかと思って七夕に衣を貸さずにいるが、そのことにつけても亡き人が思い出されて涙で袖が濡れる、と詠む歌である。華やかな七夕の風習に加われない喪中の悲しみを詠んでいる。
前歌の第百五十九首が苔の衣を貸すことをためらうのに続き、本歌は喪服を貸せない嘆きを詠み、衣を貸す風習をめぐって二首が並んでいる。
本巻の第百五十八首から第百六十七首までは七夕の歌が続き、年に一度の牽牛と織女の逢瀬、織女に衣を貸す風習、明け方の別れの涙などが詠まれていく。
初句「藤衣」は藤や葛の繊維で織った粗末な衣で、ここでは喪服を指している。
二句「忌みもやすると」は忌み嫌われもするかと思っての意で、係助詞「や」による疑問を含む。
三句「七夕に」は七夕の織女にの意である。
四句「貸さぬにつけて」は貸さないにつけても、の意で、衣を貸せないことをきっかけに悲しみがつのることを示している。
結句「濡るる袖かな」は涙に濡れる袖であることだの意で、終助詞「かな」で詠嘆している。本巻の第二百二十五首も同じ結句で結ばれている。
ふぢごろも:藤や葛の繊維で織った粗末な衣。喪服
いむ:不吉なものとして避ける
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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七夕の苔の衣をいとはずは 人なみなみに貸しもしてまし
- 次の歌
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恋ひ恋ひて今宵ばかりや七夕の 枕に塵の積もらざるらむ