天の川別れに胸のこがるれば
帰さの舟は楫もとられず
- 歌の意味
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天の川での別れに胸が焦がれるので、帰りの舟は楫を取ることもできない。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 162
天の川で逢った二星が別れるとき、胸が焦がれるほどつらいので、帰りの舟は楫を取って漕ぐこともできない、と詠む歌である。別れの悲しみを、舟が進まないさまによって表している。
本巻の第百六十六首、第百六十七首も「帰さ」「帰るさ」の天の川を詠み、別れの帰り道をめぐる歌が続いていく。
本巻の第百五十八首から第百六十七首までは七夕の歌が続き、年に一度の牽牛と織女の逢瀬、織女に衣を貸す風習、明け方の別れの涙などが詠まれていく。
初句「天の川」は牽牛と織女を隔てる川で、七夕の歌の舞台である。
二句「別れに胸の」は別れに際して胸がの意である。
三句「こがるれば」の「こがる」は、胸が焦がれる意の「焦がる」と、舟が漕がれる意の「漕がる」とを掛けた掛詞である。舟の縁語として下の句につながっている。
四句「帰さの舟は」の「帰さ」は帰り道の意で、牽牛が帰っていく舟をいう。
結句「楫もとられず」の「れ」は可能の助動詞「る」で、楫を取ることもできないの意となる。「楫」は舟の縁語である。
こがる:胸が焦がれる意の「焦がる」と、舟が漕がれる意の「漕がる」を掛ける
かへさ:帰り道、帰るとき
かぢ:舟を漕ぐ道具、楫
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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恋ひ恋ひて今宵ばかりや七夕の 枕に塵の積もらざるらむ
- 次の歌
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七夕に貸せる衣の露けさに 飽かぬ気色を空に知るかな