七夕に貸せる衣の露けさに
飽かぬ気色を空に知るかな
- 歌の意味
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七夕に貸した衣がしっとりと露に濡れているので、二星が名残を惜しむ様子を、見たわけではないがそれとなく知ることだ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 163
七夕に貸した衣が、返ってきたときに露でしっとり濡れているのを見て、二星が別れを惜しんで涙を流した様子を、空を見ずともそれとなく知る、と詠む歌である。衣の露を別れの涙に見なして、天上の二星の心を地上から思いやっている。
本巻の第百五十九首、第百六十首と同じく、七夕に衣を貸す風習を踏まえている。
本巻の第百五十八首から第百六十七首までは七夕の歌が続き、年に一度の牽牛と織女の逢瀬、織女に衣を貸す風習、明け方の別れの涙などが詠まれていく。
作者の「国信」は、右大臣源顕房の子で権中納言に至った源国信である。堀河百首の作者の一人で、堀河天皇の時代の歌壇で活躍した。
初句「七夕に」は七夕の織女にの意である。
二句「貸せる衣の」は貸した衣のの意で、「る」は完了の助動詞「り」の連体形である。
三句「露けさに」は露に濡れているさまによっての意で、露を別れの涙に見なしている。
四句「飽かぬ気色を」は名残を惜しむ様子をの意で、別れたくない二星の思いをいう。
結句「空に知るかな」の「空に」は確かな根拠なしに、それとなくの意で、二星のいる空の意を響かせている。終助詞「かな」で詠嘆している。
つゆけさ:露に濡れてしっとりしているさま
けしき:様子、ありさま
- 作者
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源国信
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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天の川別れに胸のこがるれば 帰さの舟は楫もとられず
- 次の歌
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限りありて別るる時も七夕の 涙の色は変はらざりけり