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七夕の飽かぬ別れの涙にや
花のかづらも露けかるらむ

歌の意味
織女の名残尽きない別れの涙のためだろうか、髪に飾った花のかずらも露に濡れているのだろう。
鑑賞
巻第三 秋歌 165

 名残を惜しんで別れる織女の涙のために、髪に飾った花のかずらまでも露に濡れているのだろう、と詠む歌である。天上の織女の姿を美しく思い描き、花のかずらにかかる露を涙に見なしている。
 本巻の第百五十八首から第百六十七首までは七夕の歌が続き、年に一度の牽牛と織女の逢瀬、織女に衣を貸す風習、明け方の別れの涙などが詠まれていく。
 作者の「師時」は、左大臣源俊房の子で権中納言に至った源師時である。日記『長秋記』の記主として知られ、堀河百首の作者の一人である。

 初句「七夕の」は織女を指している。
 二句「飽かぬ別れの」は名残の尽きない別れのの意で、本巻の第百六十三首の「飽かぬ気色」、第百六十七首の「飽かぬ涙」と同じく、別れを惜しむ心を詠んでいる。
 三句「涙にや」は涙のためであろうかの意で、係助詞「や」が結句の「らむ」と係り結びをなす。
 四句「花のかづらも」の「かづら」は花や草を糸に通して髪に飾るもので、織女の装いを思わせる。
 結句「露けかるらむ」は露に濡れているのだろうの意で、「らむ」は原因を推量する助動詞である。

かづら:花や草を糸に通して髪に飾るもの
つゆけし:露に濡れている
作者
源師時
出典
金葉和歌集
前の歌
限りありて別るる時も七夕の 涙の色は変はらざりけり
次の歌
天の川帰さの舟に波かけよ 乗りわづらはば程も経ばかり