咲きにけりくちなし色の女郎花
言はねどしるし秋の気色は
- 歌の意味
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咲いたことだ、くちなし色の女郎花が。口なしの名のとおり何も言わないけれど、秋の気配ははっきりとわかる。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 169
くちなしで染めた黄色のように咲いた女郎花は、何も言わないけれども、秋の気配ははっきりとわかる、と詠む歌である。花の色の名の「くちなし」に、口が無いので何も言わない意を掛けた機知の歌である。
前歌の第百六十八首が女郎花を秋を知らせるきっかけとしたのに対し、本歌は言葉はなくとも秋の気色が明らかだとして、二首は女郎花によって秋を知る歌として対をなしている。
本巻の第百六十八首から第百七十三首までは、女郎花や稲葉を吹く風、山里の景などによって秋の訪れを知る歌が続く。
初句「咲きにけり」は咲いたことだの意で、完了の「ぬ」と詠嘆の「けり」で今気づいた感動を表す。ここで句切れとなる初句切れの歌である。
二句「くちなし色の」の「くちなし」は、黄色の染料となる梔子と、口が無いの意の「口無し」とを掛けた掛詞である。四句の「言はね」と縁がある。
三句「女郎花」は黄色の小花をつける秋の花で、くちなし色はその黄色をいう。
四句「言はねどしるし」は言わないけれども明らかだの意で、「しるし」ははっきりしているの意の形容詞である。ここで句切れとなる四句切れの歌でもあり、結句は倒置となっている。
結句「秋の気色は」は秋の様子はの意で、四句の「しるし」の主語を最後に示している。
くちなし:黄色の染料となる梔子と、口が無い意の「口無し」を掛ける
けしき:様子、ありさま
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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咲き初むるあしたの原の女郎花 秋を知らするつまにぞありける
- 次の歌
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おのづから秋は来にけり山里の 葛はひかかる槙の伏屋に