草枕この旅寝にぞ思ひ知る
月よりほかの友なかりけり
- 歌の意味
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この旅寝で思い知ったことだ。月のほかに友はいないのだと。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 176
旅先で一人寝る夜、空の月だけが自分に寄り添ってくれる友であると思い知った、と詠む歌である。旅の孤独と、その孤独を慰めてくれる月への親しみとが素直に表されている。
旅寝の月は本巻の第百七十九首、第二百十一首にも詠まれ、旅の寂しさを月によって慰める心が繰り返し描かれている。
本巻の第百七十四首から第二百十七首までは月の歌が長く続き、夕月夜から八月十五夜の名月、有明の月まで、さまざまな月のありさまと月を見る心が詠まれていく。
初句「草枕」は草を結んで枕とする意で、旅にかかる枕詞である。ここでは「旅寝」を導いている。
二句「この旅寝にぞ」は今回の旅寝での意で、係助詞「ぞ」が三句の連体形「知る」と係り結びをなす。
三句「思ひ知る」は身にしみてわかるの意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「月よりほかの」は月のほかのの意で、月だけが友であることを示している。
結句「友なかりけり」は友はいなかったことだの意で、詠嘆の「けり」で気づきを表している。
くさまくら:草を結んで作る旅の枕。「旅」にかかる枕詞
たびね:旅先で寝ること
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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風吹けば枝安からぬ木の間より ほのめく秋の夕月夜かな
- 次の歌
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もろともに草葉の露のおきゐずは ひとりや見まし秋の夜の月