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さやけさは思ひなしかと月影を
今宵と知らぬ人に問はばや

歌の意味
この明るさは自分の思い込みのせいなのかと、月の光について、今夜が十五夜だと知らない人に尋ねてみたい。
鑑賞
巻第三 秋歌 185

 今夜の月がことに明るく見えるのは、今夜が十五夜だと思うせいかもしれないので、それを知らない人に尋ねてみたい、と詠む歌である。名月の明るさが本当のものか、自分の思い込みかを確かめたいという、理知的な趣向の歌である。
 本巻の第百七十四首から第二百十七首までは月の歌が長く続き、夕月夜から八月十五夜の名月、有明の月まで、さまざまな月のありさまと月を見る心が詠まれていく。

 初句「さやけさは」は明るく澄んでいることはの意で、月の明るさをいう。
 二句「思ひなしかと」の「思ひなし」は思い込み、気のせいの意で、思い込みかと思っての意となる。
 三句「月影を」は月の光をの意である。
 四句「今宵と知らぬ」は今夜が名月の夜だと知らないの意である。
 結句「人に問はばや」の「ばや」は自己の願望を表す終助詞で、人に尋ねてみたいの意となる。

さやけさ:明るく澄んでいること
おもひなし:思い込み、気のせい
出典
金葉和歌集
前の歌
東路をはるかに出づるもちづきの 駒に今宵やあふさかの関
次の歌
秋はなほ残り多かる年なれど 今宵の月の名こそ惜しけれ