葦根はひかつみも茂き沼水に
わりなく宿る夜半の月かな
- 歌の意味
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葦の根が這い、かつみも生い茂っている沼の水に、無理をしてでも映っている夜半の月であることよ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 195
葦の根が這いまわり、かつみも茂って水面のほとんど見えない沼にも、夜半の月はどうにかして映っている、と詠む歌である。わずかな水面にも宿ろうとする月のけなげさと、どこにでも光を届ける月の明るさを描いている。
本巻の第百七十四首から第二百十七首までは月の歌が長く続き、夕月夜から八月十五夜の名月、有明の月まで、さまざまな月のありさまと月を見る心が詠まれていく。
作者の「忠通」は、藤原忠実の子で摂政関白太政大臣に至った藤原忠通である。法性寺関白と呼ばれた。漢詩や書にもすぐれた。
初句「葦根はひ」は葦の根が這いの意で、水辺に葦が密生しているさまをいう。
二句「かつみも茂き」の「かつみ」は水辺に生える草で、それも生い茂っているの意である。
三句「沼水に」は沼の水にの意で、草に覆われてわずかしか見えない水面を示している。
四句「わりなく宿る」の「わりなし」は道理に合わない、無理にもの意で、それでも映っているさまをいう。
結句「夜半の月かな」は夜中の月であることよの意で、終助詞「かな」で詠嘆している。
かつみ:水辺に生える草。マコモの類とされる
よは:夜中
- 作者
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藤原忠通
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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山の端に雲の衣を脱ぎ捨てて ひとりも月のたちのぼるかな
- 次の歌
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鏡山峰より出づる月なれば 曇る夜もなき影をこそ見れ