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菊の上に露なかりせばいかにして
今宵の月を夜と知らまし

歌の意味
菊の上に露が置いていなかったならば、どうして、昼のように明るい今夜の月のもとで、夜であると知ることができただろうか。
鑑賞
巻第三 秋歌 198

 今夜の月はあまりに明るく昼のようなので、菊の上に夜露が置いていなかったなら、夜であることさえわからなかっただろう、と詠む歌である。月の明るさを、夜を知る手がかりが露しかないという誇張によって表している。
 本巻の第百七十四首から第二百十七首までは月の歌が長く続き、夕月夜から八月十五夜の名月、有明の月まで、さまざまな月のありさまと月を見る心が詠まれていく。

 初句「菊の上に」は菊の花の上にの意で、字余りの句である。
 二句「露なかりせば」の「せば」は過去の助動詞「き」の未然形に「ば」が付いた仮定で、結句の「まし」と呼応する反実仮想である。
 三句「いかにして」はどうしての意である。
 四句「今宵の月を」は今夜の月をの意で、本巻の第百八十首、第百八十二首と同じく名月の夜を思わせる。
 結句「夜と知らまし」は夜だと知ることができただろうかの意で、反実仮想の「まし」で結んでいる。

きく:菊の花
出典
金葉和歌集
前の歌
いにしへの難波のことを思ひ出でて 高津の宮に月のすむらむ
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名残なく夜半の嵐に雲晴れて 心のままに澄める月かな