妻恋ふる鹿ぞ鳴くなるひとり寝の
とこの山風身にやしむらむ
- 歌の意味
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妻を恋い慕う鹿が鳴いているようだ。独り寝の床ならぬ、鳥籠の山の山風が身にしみるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 222
妻を恋い慕って鹿が鳴いているのが聞こえる、独り寝の床のような鳥籠の山を吹く山風が身にしみるのだろうか、と鹿の心を思いやる歌である。地名の鳥籠に寝床の意を重ね、妻と離れた鹿の寂しさを描いている。
本巻の第二百二十二首から第二百二十六首までは鹿の歌が続き、妻を恋うて鳴く鹿の声に、旅や独り寝のわびしさなど、さまざまな心が寄せられていく。
初句「妻恋ふる」は妻を恋い慕うの意で、秋に雌を求めて鳴く牡鹿をいう。
二句「鹿ぞ鳴くなる」は係助詞「ぞ」を受けて連体形「なる」で結ぶ係り結びで、「なる」は音声による推定の助動詞である。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「ひとり寝の」は独り寝のの意で、四句の「とこ」を導いている。
四句「とこの山風」の「とこ」は、近江の歌枕の鳥籠の山と、寝床の意の「床」とを掛けた掛詞である。
結句「身にやしむらむ」は身にしみるのだろうかの意で、係助詞「や」と現在推量の「らむ」が結んでいる。
とこ:近江の歌枕の鳥籠の山と、寝床の意の「床」を掛ける
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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妹背山峰の嵐や寒からむ 衣かりがね空に鳴くなり
- 次の歌
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思ふことありあけ方の月影に あはれを添ふるさを鹿の声