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小萩原にほふ盛りは白露も
色々にこそ見えわたりけれ

歌の意味
萩の原が美しく咲き匂う盛りには、白露もさまざまな色に一面に見えることだ。
鑑賞
巻第三 秋歌 228

 萩の原が色美しく咲き盛るころには、萩の花の色を映して、白露までもが一面に色とりどりに見える、と詠む歌である。萩の花の盛りの華やかさを、露の色によって表している。
 前歌の第二百二十七首と同じく、白露が花の色を映して色々に見えることを詠み、二首は対をなしている。
 本巻の第二百二十七首から第二百二十九首までは、野辺の白露と萩の歌が続く。
 作者の「行尊」は、参議源基平の子で、天台座主、大僧正に至った僧である。修験の行者としても知られ、小倉百人一首にも歌が入っている。

 初句「小萩原」は萩の生い茂る野原で、「小」は語調を整える接頭語である。
 二句「にほふ盛りは」の「にほふ」は色美しく照り映える意で、萩の花の盛りをいう。
 三句「白露も」は白露もの意で、「も」によって、白いはずの露までもという含みを示している。前歌の第二百二十七首の初句と同じく「白露」を詠んでいる。
 四句「色々にこそ」はさまざまな色にの意で、係助詞「こそ」が結句の已然形「けれ」と係り結びをなす。
 結句「見えわたりけれ」は一面に見えることだの意で、詠嘆の「けり」で結んでいる。

こはぎはら:萩の生い茂る野原
にほふ:色美しく照り映える
作者
行尊
出典
金葉和歌集
前の歌
白露と人は言へども野辺見れば 置く花ごとに色ぞ変はれる
次の歌
白菅の真野の萩原露ながら 折りつる袖ぞ人なとがめそ