かりに来る人も着よとや藤袴
秋の野ごとに鹿のたつらむ
- 歌の意味
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狩りに来る人も、仮にでも着よというのだろうか、藤袴を裁つかのように、秋の野ごとに鹿が立っているのだろう。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 235
秋の野ごとに鹿が立っているのは、狩りに来る人にも藤袴を着せようとして袴を裁っているのだろうか、と詠む歌である。花の名の「袴」にちなみ、「かり」「たつ」に二つの意を重ねて、鹿と藤袴の咲く秋の野をおもしろく描いている。
本巻の第二百三十四首から第二百三十六首までは藤袴の歌が続き、袴という名にちなんで、掛ける、着る、ほころぶなど衣にかかわる語で詠まれている。
初句「かりに来る」の「かり」は、獲物を「狩り」に来る意と、「仮に」来る意とを掛けた掛詞である。
二句「人も着よとや」は人も着よというのかの意で、「着る」は三句の「袴」の縁語である。係助詞「や」が結句の「らむ」と係り結びをなす。
三句「藤袴」は秋の七草の一つで、その名の「袴」から衣に見立てられている。
四句「秋の野ごとに」は秋の野のどこにでもの意である。
結句「鹿のたつらむ」の「たつ」は、鹿が「立つ」意と、袴を「裁つ」意とを掛けた掛詞である。「らむ」は原因を推量する助動詞である。
かり:獲物を「狩り」の意と、「仮に」の意を掛ける
たつ:鹿が「立つ」意と、袴を「裁つ」意を掛ける
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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佐保川の汀に咲ける藤袴 波のよりてやかけむとすらむ
- 次の歌
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ささがにの糸のとぢめやあだならむ ほころびわたる藤袴かな