ささがにの糸のとぢめやあだならむ
ほころびわたる藤袴かな
- 歌の意味
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蜘蛛の糸の縫い留めがいいかげんなのだろうか、一面にほころびている藤袴であることよ。
- 鑑賞
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巻第三 秋歌 236
一面に咲き広がった藤袴を、縫い目がほころんだ袴に見立て、縫った蜘蛛の糸の留め方がいいかげんだったのだろうか、と詠む歌である。花が咲く意の「ほころぶ」に縫い目がほころぶ意を重ね、蜘蛛の糸を取り合わせた機知の歌である。
「ささがにの糸」は本巻の第二百十九首にも詠まれている。本歌で藤袴の一連は終わる。
本巻の第二百三十四首から第二百三十六首までは藤袴の歌が続き、袴という名にちなんで、掛ける、着る、ほころぶなど衣にかかわる語で詠まれている。
作者の「顕仲_源」は、源顕房の子で神祇伯を務めた源顕仲である。待賢門院堀河、上西門院兵衛の父である。
初句「ささがにの」の「ささがに」は蜘蛛のことで、二句の「糸」を導いている。本巻の第二百十九首と同じ初句である。
二句「糸のとぢめや」の「とぢめ」は縫い終わりの糸の留め目で、係助詞「や」が三句の「らむ」と係り結びをなす。
三句「あだならむ」はいいかげんなのだろうかの意で、ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「ほころびわたる」の「ほころぶ」は、縫い目がほころぶ意と、花が咲く意とを掛けたもので、一面に咲き広がるさまをいう。
結句「藤袴かな」は藤袴であることよの意で、終助詞「かな」で詠嘆している。「糸」「とぢめ」「ほころぶ」は袴の縁語となっている。
ささがに:蜘蛛
とぢめ:縫い終わりの糸の留め目
ほころぶ:縫い目がほころぶ意と、花が咲く意を掛ける
- 作者
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源顕仲
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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かりに来る人も着よとや藤袴 秋の野ごとに鹿のたつらむ
- 次の歌
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あだし野の露吹き乱る秋風に なびきもあへぬ女郎花かな