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谷川にしがらみかけよ竜田姫
峰の紅葉に嵐吹くなり

歌の意味
谷川に柵をかけよ、竜田姫よ。峰の紅葉に嵐が吹いているようだ。
鑑賞
巻第三 秋歌 247

 峰の紅葉に嵐が吹きつけて散らそうとしているので、秋の女神の竜田姫よ、谷川に柵をかけて、散った紅葉を流さずにとどめてくれ、と呼びかける歌である。紅葉を惜しむ心を、秋をつかさどる女神への願いの形で表している。
 本巻の第百九十首でも天の川に柵をかけて流れる月をとどめようと詠まれ、流れゆくものを柵でとどめる趣向が共通している。
 本巻の第二百四十三首から第二百五十三首までは紅葉の歌が続き、色づき始めた木々から、川や滝を埋めて散る紅葉までが詠まれていく。

 初句「谷川に」は谷を流れる川にの意である。
 二句「しがらみかけよ」は柵をかけよの意の命令で、本巻の第百九十首の「しがらみかけむ」と同じく柵を詠んでいる。
 三句「竜田姫」は秋をつかさどる女神で、呼びかけの対象である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「峰の紅葉に」は峰の紅葉にの意である。
 結句「嵐吹くなり」の「なり」は音声による推定の助動詞で、嵐が吹いているのが聞こえるの意である。命令の理由を示している。

しがらみ:川の流れをせき止めるため、杭を打って竹や柴を絡めたもの
たつたひめ:秋をつかさどる女神
出典
金葉和歌集
前の歌
音羽山紅葉散るらし逢坂の 関の小川に錦織りかく
次の歌
大井川井堰の音のなかりせば 紅葉を敷ける渡りとや見む