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柞散る岩間をかづく鴨鳥は
おのが青羽も紅葉しにけり

歌の意味
柞の葉が散る岩間を水にもぐって行く鴨は、自分の青い羽までも紅葉してしまったことだ。
鑑賞
巻第三 秋歌 251

 柞の紅葉が散り浮かぶ岩間の水にもぐる鴨は、その青い羽まで紅葉の色に染まってしまった、と詠む歌である。紅葉の葉を羽にまとった鴨の姿を、鴨の羽が紅葉したと見立てたおもしろみのある歌である。
 結句の「紅葉しにけり」は本巻の第二百四十四首、次歌の第二百五十二首と同じ結句で、木ではないもの、鴨の羽や谷の架け橋までが紅葉すると詠む点で、次歌と趣向を同じくしている。
 本巻の第二百四十三首から第二百五十三首までは紅葉の歌が続き、色づき始めた木々から、川や滝を埋めて散る紅葉までが詠まれていく。

 初句「柞散る」の「柞」はならやくぬぎなどの木で、その紅葉が散るさまをいう。
 二句「岩間をかづく」の「かづく」は水にもぐる意で、岩の間の水にもぐるの意となる。
 三句「鴨鳥は」は鴨のことで、主語として置かれている。
 四句「おのが青羽も」は自分の青い羽もの意で、「も」によって木の葉だけでなくという含みを示している。
 結句「紅葉しにけり」は紅葉してしまったことだの意で、本巻の第二百四十四首、次歌の第二百五十二首と同じ結句である。

ははそ:ならやくぬぎなどの木
かづく:水にもぐる
かもどり:鴨
出典
金葉和歌集
前の歌
よそに見る峰の紅葉や散り来ると 麓の里は嵐をぞ待つ
次の歌
小倉山峰の嵐の吹くからに 谷の架け橋紅葉しにけり