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神無月しぐるるままに暗部山
下照るばかり紅葉しにけり

歌の意味
神無月になり、時雨が降るにつれて、暗部山は木の下まで照り輝くほどに紅葉したことだ。
鑑賞
巻第四 冬歌 257

 時雨が降るたびに色を深め、名に「暗」の響きを持つ暗部山が、木の下まで明るく照り映えるほどに紅葉した、と詠む歌である。山の名の暗さと紅葉の照り映える明るさとを対比させた点に趣向がある。
 本歌は巻第四冬歌の巻頭歌である。冬の初めの神無月の時雨と紅葉で冬の巻を始めており、巻第三秋歌の巻末の第二百五十六首が紅葉の散り果てた秋の終わりを詠んだのを受けて、冬になってもなお照り映える山の紅葉を描いている。巻末の第三百四首が今年も今日になったと一年の終わりを詠むのと、冬の始めと終わりとで呼応している。
 本巻の第二百五十七首から第二百六十六首までは、時雨や紅葉など初冬の景物を詠む歌が続く。

 初句「神無月」は陰暦十月の異称で、冬の最初の月である。本巻の第二百六十首も同じ初句で始まり、時雨と紅葉を詠んでいる。
 二句「しぐるるままに」は時雨が降るにつれての意で、時雨が木の葉を染めるという古来の考え方による。
 三句「暗部山」は山城の歌枕で、鞍馬山の古名とされる。「くらぶ」の音に暗さを響かせている。
 四句「下照るばかり」は木の下まで照り輝くほどにの意で、暗いという山の名と対比させている。
 結句「紅葉しにけり」は紅葉したことだの意で、詠嘆の「けり」で結んでいる。

かみなづき:陰暦十月の異称
しぐる:時雨が降る
くらぶやま:山城国の歌枕。鞍馬山の古名とされる
したてる:木の下まで照り輝く
出典
金葉和歌集
前の歌
惜しめども四方の紅葉は散り果てて 戸無瀬ぞ秋の泊りなりける
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時雨つつかつ散る山の紅葉葉を いかに吹く夜の嵐なるらむ