水鳥のつららの枕隙もなし
うべ冴えけらし十符の菅薦
- 歌の意味
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水鳥が枕とする氷は、すき間もなく張りつめている。なるほど冷え込んだらしい。十符の菅薦のように目を詰めて。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 275
水鳥が寝る水面には、枕とする氷がすき間もなく張りつめている。なるほどひどく冷え込んだらしい、と詠む歌である。氷の張りつめた水面を、編み目の細かい陸奥の名産の十符の菅薦に見立て、水鳥の寝床にふさわしい敷物としている。
氷の歌の最後の一首で、次歌から霰と雪の歌へと移っていく。また本巻の第二百九十七首と第二百九十八首でも、水鳥の鴛鳥の冬の寝床が詠まれている。
本巻の第二百七十一首から第二百七十五首までは、氷を詠む歌が続く。
作者の「経信」は、源道方の子で大納言に至った源経信である。桂大納言と呼ばれた。晩年は大宰権帥として任地で没した。撰者源俊頼の父である。
初句「水鳥の」は水に住む鳥で、冬の水辺の景物である。
二句「つららの枕」の「つらら」は水面に張った氷で、水鳥が枕とする寝床に見立てている。
三句「隙もなし」はすき間もないの意で、氷が一面に張りつめていることを示す。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「うべ冴えけらし」はなるほど冷え込んだらしいの意で、「うべ」は納得の意を表し、「らし」は根拠に基づく推定である。原文の仮名は「うへ」であるが、濁点を補って「うべ」と読む。
結句「十符の菅薦」は陸奥の名産で編み目が十筋ある菅のむしろで、すき間なく張った氷をこれに見立てている。体言止めで結んでいる。
つらら:水面などに張った氷
とふのすがごも:陸奥国の名産の、編み目が十筋ある菅のむしろ
- 作者
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源経信
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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冬寒み空に凍れる月影は 宿にもるこそ解くるなりけれ
- 次の歌
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はし鷹の白斑に色やまがふらむ とかへる山に霰降るらし