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高嶺には雪降りぬらし真柴川
ほきの懸け草垂氷すがれり

歌の意味
高い峰には雪が降ったらしい。真柴川の崖に垂れ下がる草に、つららが取りついている。
鑑賞
巻第四 冬歌 277

 真柴川の崖に垂れ下がった草につららが下がっているのを見て、高い峰には雪が降ったらしいと推し量る歌である。身近な川辺のつららから、見えない山頂の雪を思いやっている。
 本巻の第二百七十七首から第二百九十三首までは雪を詠む歌が中心で、その間の第二百八十一首から第二百八十三首には鷹狩の歌が置かれている。

 初句「高嶺には」は高い峰にはの意で、遠くの山頂を示している。
 二句「雪降りぬらし」は雪が降ったらしいの意で、根拠に基づく推定の「らし」を用いる。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
 三句「真柴川」は川の名で、下の句の推定の根拠となる景の場所を示している。
 四句「ほきの懸け草」の「ほき」は崖のことで、崖に垂れ下がっている草の意である。
 結句「垂氷すがれり」はつららが取りついているの意で、存続の「り」で結んでいる。雪の歌の始めに、氷の歌の名残のつららを詠んでいる。

ほき:崖、険しい所
かけくさ:崖などに垂れ下がって生えている草
たるひ:つらら
すがる:取りつく、すがりつく
出典
金葉和歌集
前の歌
はし鷹の白斑に色やまがふらむ とかへる山に霰降るらし
次の歌
衣手に余呉の浦風冴え冴えて 己高山に雪降りにけり