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炭竈にたつ煙さへ小野山は
雪気の雲に見ゆるなりけり

歌の意味
小野山では、炭竈から立ち上る煙までもが、雪を降らせそうな雲に見えることだ。
鑑賞
巻第四 冬歌 290

 炭焼きの地として知られる小野山では、炭竈から立ち上る煙までもが、雪をもたらす雲のように見える、と詠む歌である。雪の多い山里の景を、炭竈の煙を雪雲に見立てることで描いている。
 本巻の第二百八十首も小野山の冬のさびしさを詠んでおり、同じ山の冬の景を別の面から描いている。
 本巻の第二百七十七首から第二百九十三首までは雪を詠む歌が中心で、その間の第二百八十一首から第二百八十三首には鷹狩の歌が置かれている。
 作者の「師時」は、左大臣源俊房の子で権中納言に至った源師時である。日記『長秋記』の記主として知られ、堀河百首の作者の一人である。

 初句「炭竈に」は炭を焼く竈にの意で、小野山の炭焼きを示している。
 二句「たつ煙さへ」は立ち上る煙までもがの意で、副助詞「さへ」が添加を表している。
 三句「小野山は」は山城の小野の山で、炭焼きの地として知られる。本巻の第二百八十首にも詠まれている。
 四句「雪気の雲に」は雪を降らせそうな気配の雲にの意である。
 結句「見ゆるなりけり」は見えるのであったことだの意で、詠嘆の「けり」で結んでいる。

すみがま:炭を焼くための竈
ゆきげ:雪の降りそうな気配
をのやま:山城国の小野の山。炭焼きの地として知られる
作者
源師時
出典
金葉和歌集
前の歌
朝ごとの鏡の影に面なれて 雪見にとしも急がれぬかな
次の歌
都だに雪降りぬれば信楽の 真木の杣山跡絶えぬらむ