さむしろに思ひこそやれ笹の葉に
冴ゆる霜夜の鴛の独り寝
- 歌の意味
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寒々とした狭いむしろの上で思いやることだ。笹の葉に霜が冷え冷えと置く霜夜の、鴛鳥の独り寝を。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 298
自分も寒々としたむしろの上で寝ながら、笹の葉に霜が冷たく置く夜に独りで寝る鴛鳥の身を思いやる、と詠む歌である。雌雄仲良く連れ添うとされる鴛鳥の独り寝に、自らの独り寝の寂しさを重ねている。
前歌の第二百九十七首と同じく鴛鳥の冬の寝床を詠み、鴛鳥の歌が二首並んでいる。前歌が池の氷の上の浮き寝を思ったのに対し、本歌は霜夜の独り寝を思いやっている。また本巻の第二百七十五首の水鳥の「つららの枕」とも通じている。
作者の「顕季」は、藤原隆経の子で修理大夫に至った藤原顕季である。母が白河天皇の乳母であったことから院の近臣として重んじられた。和歌の家である六条藤家の祖である。
初句「さむしろに」の「さむしろ」は狭いむしろの意の狭筵と、寒しの意とを掛けており、平仮名のままとした。
二句「思ひこそやれ」は思いやることだの意で、係助詞「こそ」が已然形「やれ」と係り結びをなす。ここで句切れとなる二句切れの歌で、下の句は倒置となっている。
三句「笹の葉に」は笹の葉にの意で、霜の置く場所を示している。
四句「冴ゆる霜夜の」は冷え冷えとした霜の夜のの意である。
結句「鴛の独り寝」は鴛鳥の独り寝で、体言止めで結んでいる。前歌の第二百九十七首の結句「池の鴛鳥」を受けている。
さむしろ:狭いむしろの意の「狭筵」と、「寒し」を掛ける
おもひやる:遠く離れたものに思いを馳せる
をし:鴛鳥。雌雄が仲良く連れ添うとされる水鳥
- 作者
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藤原顕季
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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波枕いかに浮き寝を定むらむ 氷ますだの池の鴛鳥
- 次の歌
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なにとなく年の暮るるは惜しけれど 花のゆかりに春を待つかな