人知れず暮れゆく年を惜しむ間に
春いとふ名の立ちぬべきかな
- 歌の意味
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人知れず暮れていく年を惜しんでいるうちに、春を嫌う者だという評判がきっと立ってしまうだろう。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 300
ひそかに暮れていく年を惜しんでいるうちに、春の来るのを嫌う者だという評判が立ってしまいそうだ、と詠む歌である。年を惜しむ心が、裏返せば春の訪れを拒むことになるという矛盾を、評判という形で軽妙に詠んでいる。
前歌の第二百九十九首が年を惜しみつつも花のために春を待ったのに対し、本歌は年を惜しむあまり春を嫌うという評判を案じており、二首は反転した構図をなしている。
本巻の第二百九十九首から第三百四首までは、年の暮を惜しむ歌が続き、冬の巻を結んでいる。
初句「人知れず」は人に知られないでの意で、ひそかに年を惜しむ心を示している。
二句「暮れゆく年を」は暮れていく年をの意で、前歌の第二百九十九首の「年の暮るるは」を受けている。
三句「惜しむ間に」は惜しんでいる間にの意である。
四句「春いとふ名の」は春を嫌うという評判がの意で、前歌の「春を待つ」と反転した思いを示している。
結句「立ちぬべきかな」はきっと立ってしまうだろうの意で、強意の「ぬ」と推量の「べし」に終助詞「かな」を添えている。
いとふ:嫌って避ける
な:評判、うわさ
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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なにとなく年の暮るるは惜しけれど 花のゆかりに春を待つかな
- 次の歌
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数ふるに残り少なき身にしあれば せめても惜しき年の暮かな