万代はまかせたるべし石清水
長き流れを君によそへて
- 歌の意味
-
万代の久しさは石清水にゆだねておけばよい。石清水の長い流れを君の御代になぞらえて。
- 鑑賞
-
巻第五 賀歌 306
石清水の絶えることのない長い流れを君の御代になぞらえ、万代の久しさは石清水にゆだねておけばよい、と詠む歌である。「まかす」に、ゆだねる意と水を引き入れる意とを掛け、石清水八幡宮の鎮まる男山の清水に寄せて御代を祝っている。
前歌の第三百五首の「流れての世」を受けて、本歌も「長き流れ」を御代になぞらえている。
本巻の第三百五首から第三百十首までは、竹、石清水、松、桜などの景物や我が身に寄せて、千代、万代を祝う歌が続く。
初句「万代は」は万年もの長い年月はの意で、御代の久しさを示している。
二句「まかせたるべし」の「まかせ」は、ゆだねる意の「任す」と、水を引き入れる意の「まかす」との掛詞で、平仮名のままとした。ここで句切れとなる二句切れの歌で、下の句は倒置となっている。
三句「石清水」は山城の男山の清水で、石清水八幡宮の鎮まる地として知られる歌枕である。
四句「長き流れを」は石清水の長く絶えない流れをの意で、前歌の第三百五首の「流れての世」と同じく流れを御代になぞらえている。
結句「君によそへて」は君の御代になぞらえての意である。
まかす:物事をゆだねる意の「任す」と、田などに水を引き入れる意の「まかす」を掛ける
いはしみづ:山城国の男山の清水。石清水八幡宮が鎮座する
よそふ:なぞらえる、たとえる
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
千代経れど面変はりせぬ河竹は 流れての世のためしなりけり
- 次の歌
-
水の面に松の下枝のひちぬれば 千歳は池のこころなりけり