古典和歌stream

水の面に松の下枝のひちぬれば
千歳は池のこころなりけり

歌の意味
水面に松の下枝が浸っているので、松の千年の齢は池の中ほどに宿り、池の心のままであることだ。
鑑賞
巻第五 賀歌 307

 池のほとりの松の下枝が水面に浸っているのを見て、千年の齢を保つ松が池に宿るのだから、千年は池の思うままだ、と詠む歌である。「こころ」に池の中ほどの意と心の意とを掛け、松と池を取り合わせて長寿をことほいでいる。
 前歌の第三百六首が石清水の流れを詠んだのに続き、本歌は池の水と松を詠んでいる。
 本巻の第三百五首から第三百十首までは、竹、石清水、松、桜などの景物や我が身に寄せて、千代、万代を祝う歌が続く。

 初句「水の面に」は水面にの意である。
 二句「松の下枝の」は松の下の方の枝のの意で、千年の齢を保つとされる松を詠んでいる。
 三句「ひちぬれば」は浸ったのでの意で、「ひつ」は水に浸る、濡れるの意である。已然形に「ば」を付けた確定条件を表している。
 四句「千歳は池の」は松の千年の齢は池のの意である。
 結句「こころなりけり」の「こころ」は、池の中ほどの意と、心の意とを掛けており、平仮名のままとした。詠嘆の「けり」で結んでいる。

しづえ:下の方の枝
ひつ:水に浸る、濡れる
こころ:池の中ほどの意と、思いの意の「心」を掛ける
出典
金葉和歌集
前の歌
万代はまかせたるべし石清水 長き流れを君によそへて
次の歌
九重に久しく匂へ八重桜 のどけき春の風と知らずや