古典和歌stream

君が代のほどをば知らで住吉の
松を久しと思ひけるかな

歌の意味
君の御代の長さを知らないで、住吉の松を久しいものと思っていたことだ。
鑑賞
巻第五 賀歌 312

 住吉の松は長寿の象徴とされてきたが、それは君の御代の長さを知らなかったからで、御代に比べれば住吉の松も久しいとは言えない、と詠む歌である。長寿の象徴を引き合いに出して、それ以上に久しい御代を祝っている。
 古今和歌集の「住吉の岸の姫松人ならば幾世か経しと問はましものを」など、住吉の松は久しいものとして詠まれてきた。前歌の第三百十一首の「松の上葉」に続いて、本歌も松を詠んでいる。
 本巻の第三百十一首から第三百十四首までは、松や白波、花桜に寄せて君が代の久しさを祝う歌が続く。
 作者の「経信」は、源道方の子で大納言に至った源経信である。桂大納言と呼ばれた。晩年は大宰権帥として任地で没した。撰者源俊頼の父である。

 初句「君が代の」は君の御代のの意で、前歌の第三百十一首と同じく君が代を詠んでいる。
 二句「ほどをば知らで」は長さを知らないでの意で、打消の接続助詞「で」を用いる。
 三句「住吉の」は摂津の住吉で、松の名所の歌枕である。
 四句「松を久しと」は松を久しいものとの意で、長寿の象徴とされる松を示している。
 結句「思ひけるかな」は思っていたことだの意で、詠嘆の「けり」の連体形に終助詞「かな」を添え、これまでの思い違いに気づいた感慨を表している。

ほど:程度、長さ
すみよし:摂津国の地名。住吉の社があり、松の名所として知られる
作者
源経信
出典
金葉和歌集
前の歌
君が代は松の上葉に置く露の 積もりて四方の海となるまで
次の歌
君が代はすゑの松山はるばると 越す白波の数も知られず