曇りなき豊の明かりにあふみなる
朝日の里は光さしそふ
- 歌の意味
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曇りのない豊明の節会に逢う、近江の国の朝日の里は、いっそう光が差し加わることだ。
- 鑑賞
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巻第五 賀歌 316
曇りのない豊明の節会にめぐり会った近江の朝日の里は、その名の朝日にさらに光が差し加わる、と詠む歌である。「あふみ」に「逢ふ」と国名の近江を掛け、豊の明かりの「明かり」、朝日、光と、明るさにかかわる語を連ねて御代の輝きを祝っている。
豊明の節会は大嘗会や新嘗会の後に催される宴で、本歌は大嘗会にかかわる歌とみられる。
本巻の第三百十五首から第三百十九首までは、鼓の山、朝日の里、をことの里、にまの里など、地名を詠み込んで治まる御代を祝う歌が続く。地名を詠み込んで御代を祝う形は、大嘗会の悠紀方、主基方の歌に多く見られるものである。
初句「曇りなき」は曇りのないの意で、二句の「明かり」とともに、明るく輝く御代を示している。本巻の巻末の第三百三十三首も初句「曇りなく」で始まり、朝日を詠んでいる。
二句「豊の明かりに」は豊明の節会にの意で、「明かり」に光の明るさを響かせている。
三句「あふみなる」の「あふみ」は、節会に逢う意と、国名の近江とを掛けており、平仮名のままとした。
四句「朝日の里は」は近江の朝日の里で、地名の朝日に光の縁を持たせている。本巻の第三百二十五首、第三百三十三首にも朝日が詠まれている。
結句「光さしそふ」は光がいっそう差し加わるの意で、「明かり」「朝日」と縁語をなしている。
とよのあかり:豊明の節会。大嘗会や新嘗会の後に催される宴
あふみ:節会に「逢ふ」意と、国名の「近江」を掛ける
あさひのさと:近江国の地名
さしそふ:光がいっそう差し加わる
- 出典
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金葉和歌集
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音高き鼓の山のうちはへて 楽しき御代となるぞうれしき
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松風のをことの里に通ふにぞ 治まれる世の声は聞こゆる