花もみな君が千歳をまつなれば
いづれの春か色も変はらむ
- 歌の意味
-
花もみな君の千年の御代を待ち、松のように変わらないものであるから、どの春に色が変わることがあろうか。
- 鑑賞
-
巻第五 賀歌 321
花もみな君の千年の御代を待ち望み、常緑の松のように変わらないのだから、どの春にも色が変わることはない、と詠む歌である。「まつ」に待つと松を掛け、移ろいやすい花さえも御代のためには変わらないとして、御代の永続を祝っている。
前歌の第三百二十首と本歌は、塵や花に寄せて君が御代の限りなさを祝う二首である。
作者の「仲正」は、源頼綱の子で、源頼政の父にあたる源仲正である。諸国の国守を歴任した。
初句「花もみな」は花もすべての意で、移ろいやすいものの代表である花を挙げている。本巻の第三百八首、第三百九首、第三百十四首の桜を受けている。
二句「君が千歳を」は君の千年の御代をの意で、本巻の第三百二十六首も同じ句を用いている。
三句「まつなれば」の「まつ」は、待つ意と常緑の松とを掛けており、平仮名のままとした。本巻の第三百二十六首にも同じ掛詞が用いられている。
四句「いづれの春か」はどの春にの意で、係助詞「か」が結句の連体形「む」と係り結びをなし、反語を表している。
結句「色も変はらむ」は色が変わることがあろうか、いや変わらないの意である。
まつ:「待つ」意と、常緑の「松」を掛ける
- 作者
-
源仲正
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
いつとなく風吹く空に立つ塵の 数も知られぬ君が御代かな
- 次の歌
-
いかばかり神も嬉しとみかさ山 二葉の松の千代のけしきを