古典和歌stream

曇りなく豊栄昇る朝日には
君ぞ仕へむ万代までに

歌の意味
曇りなく華やかに照り輝いて昇る朝日には、君こそがお仕えするのだろう、万代までも。
鑑賞
巻第五 賀歌 333

 曇りなく華やかに昇る朝日のような御代に、君こそが万代までもお仕えするだろう、と詠む歌である。「豊栄昇る」は祝詞などに見える語で、朝日が華やかに照り輝いて昇るさまをいう。輝く朝日に仕えるという形で、仕える人の末長い栄えと御代とをあわせて祝っている。
 本歌は巻第五賀歌の巻末歌である。巻頭の第三百五首が「千代」を詠んで始めたのに対し、本歌は「万代までに」と詠んで巻を結び、巻頭と巻末が呼応している。また本巻の第三百十六首の初句「曇りなき」、第三百二十五首の「峰に朝日の」と朝日の光が響き合っている。
 作者の「俊頼」は、源経信の子の源俊頼である。白河院の命により本集金葉和歌集を撰んだ。革新的な歌風で知られる。

 初句「曇りなく」は曇りのないさまでの意で、本巻の第三百十六首の初句「曇りなき」と対応している。
 二句「豊栄昇る」は華やかに照り輝いて昇るの意で、祝詞などに見える語である。
 三句「朝日には」は朝日にはの意で、輝く御代をたとえている。本巻の第三百十六首、第三百二十五首にも朝日が詠まれている。
 四句「君ぞ仕へむ」は君こそがお仕えするだろうの意で、係助詞「ぞ」が連体形「む」と係り結びをなす。ここで句切れとなる四句切れの歌で、結句は倒置となっている。
 結句「万代までに」は万代までもの意で、巻頭の第三百五首の初句「千代経れど」と呼応して巻を結んでいる。

とよさかのぼる:朝日が華やかに照り輝いて昇る
つかふ:主君のそばにいて奉仕する
作者
源俊頼
出典
金葉和歌集
前の歌
万代のためしと見ゆる松の上に 雪さへ積もる年にもあるかな
次の歌
君憂しや花の都の花を見で 苗代水に急ぐ心よ