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逢ひ見むと頼むればこそくれはとり
あやしやいかがたち帰るべき

歌の意味
あなたが逢おうと頼みにさせたからこそ来たのだ。それなのに、なんとも不可解なことだ、どうしてこのまま立ち帰ることができようか。
鑑賞
巻第七 恋歌上 367

 逢おうとあなたが期待させたからこそ訪ねて来たのに、逢わずにこのまま帰るのは納得がいかない、どうして帰れようか、と訴える歌である。くれはとり、綾、裁つと織物にかかわる語を連ねて、恨みを機知的に表している。
 伝本の中には、作者を源顕国とし、「中納言俊忠卿の家にて、頼めて逢はぬ恋といへる心をよめる」の詞書を持つものがある。藤原俊忠の家で、期待させながら逢わない恋の題で詠んだ歌ということになる。

 初句「逢ひ見むと」は逢おうとの意である。
 二句「頼むればこそ」は頼みにさせたからこその意で、相手に期待を持たせる意の「頼む」の已然形に「ば」と係助詞「こそ」を付けている。
 三句「くれはとり」は織物の「綾」から四句の「あやし」にかかる枕詞である。
 四句「あやしやいかが」は不可解なことだ、どうしての意で、「あや」に三句の「くれはとり」の縁で綾を響かせている。本巻の第三百六十四首の「あやしき」も同じく「あや」を響かせている。
 結句「たち帰るべき」の「たち」は、布を「裁ち」の意と、「立ち」帰る意とを掛けており、平仮名のままとした。四句の「いかが」を受けて、帰れるはずがないという反語の意を表す。

くれはとり:古代に渡来した織工。「綾」にかかる枕詞
たつ:布を「裁つ」意と、「立ち」帰る意を掛ける
出典
金葉和歌集
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