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谷川の上は木の葉に埋もれて
したになかると人知るらめや

歌の意味
谷川の上は木の葉に埋もれていて、その下を水が流れていると、人は知るだろうか。私がひそかに泣いていることも。
鑑賞
巻第七 恋歌上 368

 谷川の上が落ち葉に埋もれて、その下を流れる水が見えないように、自分が心の内でひそかに泣いていることを、あの人は知っているだろうか、と詠む歌である。表に見えない谷川の流れに、人に知られない忍ぶ恋を重ねている。
 伝本の中には、作者を藤原実行とし、「忍恋の心をよめる」の詞書を持つものがある。
 本巻の第四百一首は同じ結句「人知るらめや」で、同じく忍ぶ恋を詠んでいる。本巻の第三百八十二首、第三百八十三首にも谷が詠まれている。

 初句「谷川の」は谷を流れる川のの意である。
 二句「上は木の葉に」は水面は木の葉にの意で、四句の「した」と上下の対をなしている。
 三句「埋もれて」は覆い隠されての意で、外から見えないことを示している。本巻の第三百八十三首の「埋もれ木」と同じく「埋もる」を用いている。
 四句「したになかると」の「なかる」は、水が「流る」の意と、泣く意の「泣かる」とを掛けており、平仮名のままとした。
 結句「人知るらめや」は人は知っているだろうかの意で、現在推量の「らむ」の已然形に係助詞「や」を付けた反語であり、知るまいの意を表す。本巻の第四百一首と同じ結句である。

うづもる:覆われて隠れる
なかる:水が「流る」の意と、泣く意の「泣かる」を掛ける
出典
金葉和歌集
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逢ひ見むと頼むればこそくれはとり あやしやいかがたち帰るべき
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