かくとだにまだいはしろの結び松
むすぼほれたる我が心かな
- 歌の意味
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こう思っているとさえ、まだ言わないでいる。岩代の結び松のように、結ぼれて晴れない私の心であることだ。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 378
恋しく思っているとさえまだ口に出せずにいて、岩代の結び松のように心が結ぼれて晴れない、と詠む歌である。言い出せない恋の苦しさを、枝を結んだ松の姿にたとえている。
伝本の中には、作者を源顕国とするものがある。
岩代の結び松は、有間皇子が枝を結んで無事を祈った歌が万葉集に見え、古くから知られた歌枕である。
初句「かくとだに」はこうとさえの意で、恋しく思っていることをさしている。
二句「まだいはしろの」の「いは」は、「言は」ずの意と、紀伊の歌枕の「岩代」とを掛けており、平仮名のままとした。
三句「結び松」は枝を結び合わせた松で、願いを込めて結んだものである。初句から三句までが、四句の「むすぼほる」を導く序となっている。
四句「むすぼほれたる」は結ぼれてほどけないの意で、心が晴れずにふさぎこむさまをいう。三句の「結び」と同じ音を重ねている。
結句「我が心かな」は私の心であることだの意で、終助詞「かな」で詠嘆している。
いはしろ:「言は」ずの意と、紀伊の歌枕の「岩代」を掛ける
むすびまつ:枝を結び合わせた松
むすぼほる:心が結ぼれて晴れない
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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涙川袖の井堰も朽ち果てて 淀むかたなき恋もするかな
- 次の歌
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恋すてふもじの関守幾たびか 我書きつらむ心づくしに