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恋すてふもじの関守幾たびか
我書きつらむ心づくしに

歌の意味
恋をしているという文字を、門司の関の関守ではないが、私は幾度書いたことだろうか。心を尽くして。
鑑賞
巻第七 恋歌上 379

 恋をしているという文字を、心を尽くして、いったい何度書いたことだろう、と詠む歌である。「もじ」に文字と門司、「つくし」に尽くしと筑紫を掛け、九州の地名を織り込んで、届かない手紙に込めた思いを表している。
 伝本の中には、「女のもとにつかはしける」の詞書を持つものがある。
 作者の「顕輔」は、六条藤家の祖藤原顕季の子で、左京大夫に至った藤原顕輔である。崇徳院の命を受けて詞花和歌集を撰進した。

 初句「恋すてふ」は恋をしているというの意である。本巻の第三百五十九首の初句と同じ句である。
 二句「もじの関守」の「もじ」は、「文字」と、豊前の「門司」の関とを掛けており、平仮名のままとした。関守は関所の番人である。
 三句「幾たびか」は何度かの意で、係助詞「か」が四句の連体形「らむ」と係り結びをなす。
 四句「我書きつらむ」は私は書いたのだろうかの意で、完了の「つ」に現在推量の「らむ」を添えている。
 結句「心づくしに」の「つくし」は、心を「尽くし」の意と、門司の関のある「筑紫」とを掛けており、平仮名のままとした。二句の「もじ」と地名の縁でつながっている。

もじ:「文字」と、豊前の「門司」の関を掛ける
せきもり:関所の番人
つくし:心を「尽くし」の意と、九州の「筑紫」を掛ける
作者
藤原顕輔
出典
金葉和歌集
前の歌
かくとだにまだいはしろの結び松 むすぼほれたる我が心かな
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命だにはかなからずは年経とも 逢ひ見むことを待たましものを