思ひあまりいかで漏らさむ小野山の
岩垣込むる谷の下水
- 歌の意味
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思いがあふれて、何とかしてこの思いを漏らし伝えたい。小野山の岩垣に閉じ込められた谷の下を流れる水のような、この秘めた恋を。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 382
思いが胸にあふれて、何とかして相手に伝えたいが、その恋は小野山の岩垣に閉じ込められた谷の下水のように人知れず流れている、と詠む歌である。岩に囲まれて外に出られない水に、打ち明けられない恋をたとえている。
伝本の中には、「堀河院の御時の艶書合によめる」の詞書を持つものがある。堀河天皇の時代に催された艶書合で詠んだ歌ということになる。
作者の「公実」は、藤原実季の子で、春宮大夫を務め権大納言に至った藤原公実である。堀河百首の作者の一人である。
初句「思ひあまり」は思いがあふれての意で、字余りの句である。
二句「いかで漏らさむ」は何とかして漏らそうの意で、ここで句切れとなる二句切れの歌である。「漏らす」は結句の「下水」の縁語である。
三句「小野山の」は小野の山のの意で、地名である。
四句「岩垣込むる」は岩が垣のように取り囲んで閉じ込めるの意である。
結句「谷の下水」は谷の底を人目につかずに流れる水で、体言止めで結んでいる。本巻の第三百六十八首の「谷川」、次歌の第三百八十三首の「谷の埋もれ木」と同じく、人に知られない恋を谷に寄せて詠んでいる。
いはがき:垣のように取り巻く岩
したみづ:物の下を人目につかずに流れる水
- 作者
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藤原公実
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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つらかりし心ならひに逢ひ見ても なほ夢かとぞ疑はれける
- 次の歌
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年経れど人もすさべぬ我が恋や くちきの杣の谷の埋もれ木