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夜もすがら草の枕に置く露は
ふるさと恋ふる涙なりけり

歌の意味
一晩中、旅寝の草の枕に置く露は、故郷を恋しく思って流す涙だったのだ。
鑑賞
巻第七 恋歌上 385

 旅寝の草の枕に一晩中置いている露は、実は故郷を恋しく思って流した涙だったのだ、と詠む歌である。露を涙に見立てる趣向で、旅先で故郷の人を恋う心を表している。
 伝本の中には、作者を藤原長実とするものがある。
 作者の「仲正」は、源頼綱の子で、源頼政の父にあたる源仲正である。堀河天皇の時代から歌人として活動した。

 初句「夜もすがら」は一晩中の意である。
 二句「草の枕に」は旅寝の枕にの意で、草を結んで枕とする旅の寝をいう。本巻の第三百五十三首、第四百五首の「草枕」と同じく旅寝を詠んでいる。
 三句「置く露は」は置いている露はの意である。本巻の第四百八首、第四百十六首、第四百二十首にも露が詠まれている。
 四句「ふるさと恋ふる」は故郷を恋しく思うの意で、故郷に残した人を恋う心を表している。
 結句「涙なりけり」は涙だったのだの意で、詠嘆の「けり」で結んでいる。

くさのまくら:草を結んで作る旅の枕。旅寝をいう
ふるさと:故郷、また住み慣れた土地
作者
源仲正
出典
金葉和歌集
前の歌
いかにせむ数ならぬ身に従はで つつむ袖より余る涙を
次の歌
荒かりし風の後より絶えぬるは 蜘蛛手にすがく糸にやあるらむ