おのづから夜離るる時のさむしろは
涙のうきになると知らずや
- 歌の意味
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たまたまあなたの訪れが途絶える夜の寒々とした筵は、涙に浮くほどになり、つらいものとなるとは知らないのか。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 390
たまたまでもあなたの訪れのない夜には、ひとり寝の筵が涙に浮くほどになり、つらいものとなることを知らないのか、と恨む歌である。「さむしろ」に寒し、「うき」に浮きと憂きを掛け、ひとり寝の寒さとつらさを表している。
伝本の中には、「人のもとにつかはしける」の詞書を持つものがある。
作者の「顕仲」は、右大臣源顕房の子で、神祇伯に至った源顕仲である。堀河百首の作者の一人である。
初句「おのづから」はたまたまの意である。
二句「夜離るる時の」は男の訪れが夜に途絶える時のの意である。
三句「さむしろは」の「さむしろ」は、狭い筵の意の「狭筵」に「寒し」を掛けており、平仮名のままとした。本巻の第三百五十三首の「いなむしろ」と同じく筵を詠んでいる。
四句「涙のうきに」の「うき」は、涙に「浮き」の意と、つらい意の「憂き」とを掛けており、平仮名のままとした。本巻の第四百十七首の「うきは我が身に」も同じ掛詞である。
結句「なると知らずや」はなると知らないのかの意で、係助詞「や」で相手に問いかけている。
よがる:男の訪れが夜に途絶える
さむしろ:狭い筵の意の「狭筵」に、「寒し」を掛ける
うき:涙に「浮き」の意と、つらい意の「憂き」を掛ける
- 作者
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源顕仲
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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なぞもかくこひぢに立ちてあやめ草 あまり長引く五月なるらむ
- 次の歌
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池に住む我が名ををしの取り返す ものにもがなや人を恨みじ