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従へば身をば捨ててむ心にも
かなはでとまる名こそ惜しけれ

歌の意味
あなたの求めに従うのであれば、この身を捨ててもかまわない。けれども、思いどおりにもならずに後に残る評判だけは惜しいことだ。
鑑賞
巻第七 恋歌上 393

 あなたの求めに従うのなら、この身を捨ててもよいが、思うにまかせぬまま後に残ってしまう浮名だけが惜しい、と詠む歌である。身よりも名を惜しむという形で、相手の求めを拒みつつ揺れる心を表している。
 伝本の中には、親しくしていた人が強いて求めることがあった折の歌とする詞書を持つものがある。
 本巻の第三百九十一首と同じく、立ってしまう名を惜しむ心を詠んでいる。

 初句「従へば」は従うのであればの意で、相手の求めに従うことをいう。
 二句「身をば捨ててむ」はこの身を捨ててしまおうの意で、強意の「つ」に意志の「む」を添えている。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
 三句「心にも」は自分の思いにもの意である。
 四句「かなはでとまる」は思いどおりにならずに後に残るの意で、打消の接続助詞「で」を用いる。
 結句「名こそ惜しけれ」は評判こそが惜しいの意で、係助詞「こそ」が已然形「惜しけれ」と係り結びをなす。本巻の第三百九十一首の「我が名ををし」と対応している。

な:評判、うわさ
出典
金葉和歌集
前の歌
秋風に吹き返されて葛の葉の いかにうらみしものとかは知る
次の歌
つつめども涙の雨のしるければ 恋する名をもふらしつるかな