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つつめども涙の雨のしるければ
恋する名をもふらしつるかな

歌の意味
包み隠しても、雨のように降る涙ははっきりと人目につくので、恋をしているという評判までも世に言いふらしてしまったことだ。
鑑賞
巻第七 恋歌上 394

 人目を包み隠しても、雨のように降る涙ははっきりとわかってしまうので、恋をしているという評判まで世に広めてしまった、と詠む歌である。「ふらし」に雨を降らす意と言いふらす意を掛け、隠しきれない恋を嘆いている。
 伝本の中には、作者を藤原忠隆とするものがある。
 本巻の第三百七十六首も、人目をはばかって包み隠しきれずに、恋の評判が立ってしまったことを詠んでいる。

 初句「つつめども」は包み隠してもの意で、逆接の「ども」を用いる。本巻の第三百八十四首の「つつむ袖」と同じく、人目を包む心を詠んでいる。
 二句「涙の雨の」は雨のように降る涙のの意である。
 三句「しるければ」ははっきりしているのでの意で、已然形に「ば」を付けた確定条件である。
 四句「恋する名をも」は恋をしているという評判までもの意である。
 結句「ふらしつるかな」の「ふらし」は、二句の「雨」の縁で雨を「降らし」の意と、言い「触らし」の意とを掛けており、平仮名のままとした。完了の「つ」に終助詞「かな」を添えている。

ふらす:雨を「降らす」意と、言い「触らす」意を掛ける
出典
金葉和歌集
前の歌
従へば身をば捨ててむ心にも かなはでとまる名こそ惜しけれ
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島風にしば立つ波のやちかへり うらみてもなほ頼まるるかな