あさましや逢ふ瀬も知らぬなとり川
まだきに岩間漏らすべしやは
- 歌の意味
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あきれたことだ。逢う機会もまだ知らないのに、名取川の岩間から水が漏れるように、早くも二人のことを漏らしてよいものだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 396
まだ逢う瀬さえ持っていないのに、名取川の岩間から水が漏れるように、早くも二人のことを人に漏らしてよいものだろうか、と相手をなじる歌である。名取川に浮名を取る意を掛け、瀬、岩間、漏らすと川にかかわる語を連ねている。
伝本の中には、作者を前斎宮内侍とするものがある。
本巻の第三百七十二首の初句も「あさましや」で、同じく相手をなじる歌である。
初句「あさましや」はあきれたことだの意で、ここで句切れとなる初句切れの歌である。本巻の第三百七十二首の初句と同じ句である。
二句「逢ふ瀬も知らぬ」は逢う機会もまだ持たないの意で、「瀬」は三句の「なとり川」の縁語である。
三句「なとり川」は、陸奥の歌枕の「名取川」と、浮名を「取る」意とを掛けており、平仮名のままとした。
四句「まだきに岩間」は早くも岩の間からの意で、「まだき」はまだその時でないうちにの意である。
結句「漏らすべしやは」は漏らしてよいものかの意で、係助詞「やは」による反語であり、漏らすべきではないの意を表す。本巻の第三百八十二首の「いかで漏らさむ」は思いを漏らしたいと願っており、本歌とは逆の立場から「漏らす」を詠んでいる。
あふせ:男女が逢う機会。川の瀬を響かせる
なとりがは:陸奥の歌枕の「名取川」と、浮名を「取る」意を掛ける
いはま:岩と岩の間
- 出典
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金葉和歌集
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島風にしば立つ波のやちかへり うらみてもなほ頼まるるかな
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ひとよとはいつか契りし川竹の 流れてとこそ思ひ初めしか