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見せばやな君しのび寝の草枕
玉ぬきかくる旅のけしきを

歌の意味
見せたいものだ。あなたを偲んで寝る旅の草枕に、玉を緒に貫いて掛けるように涙がこぼれる、この旅のありさまを。
鑑賞
巻第七 恋歌上 405

 あなたを偲んで寝る旅の草枕に、玉を緒に貫いて掛けたように涙がこぼれる、この旅のありさまをあなたに見せたい、と詠む歌である。涙を玉に見立て、旅先で都の人を恋う心を表している。
 伝本の中には、「旅宿恋を」の詞書を持つものがある。旅の宿りの恋の題で詠んだ歌ということになる。
 本巻の第三百八十七首も「見せばや」と「けしきを」を用いて、涙に濡れる寝床のさまを相手に見せたいと詠んでおり、本歌と対をなしている。
 作者の「忠通」は、関白藤原忠実の子で、摂政、関白、太政大臣を歴任した藤原忠通である。法性寺入道と呼ばれ、小倉百人一首にも歌が採られている。

 初句「見せばやな」は見せたいものだの意で、願望の終助詞「ばや」に詠嘆の「な」を添えている。ここで句切れとなる初句切れの歌で、倒置により結句の「けしきを」へと続く。本巻の第三百八十七首の四句「見せばや人に」と同じく、相手に見せたいと詠んでいる。
 二句「君しのび寝の」はあなたを偲んで寝るの意である。
 三句「草枕」は旅寝の枕で、本巻の第三百五十三首の「草枕」、第三百八十五首の「草の枕」と同じく旅寝を詠んでいる。
 四句「玉ぬきかくる」は玉を緒に貫いて掛けるの意で、こぼれ続ける涙を玉にたとえている。本巻の第三百八十七首の「玉散る床」も涙を玉に見立てている。
 結句「旅のけしきを」は旅のありさまをの意で、本巻の第三百八十七首の結句「夜半のけしきを」と同じ形で結んでいる。

しのびね:人を偲んで寝ること
たま:玉。涙のたとえ
ぬく:緒に通す、貫く
作者
藤原忠通
出典
金葉和歌集
前の歌
かき絶えてほども経ぬるをささがにの 今は心にかからずもがな
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思ひやれ訪はで日をふる五月雨の ひとりやどもる袖のしづくを