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思ひやれ訪はで日をふる五月雨の
ひとりやどもる袖のしづくを

歌の意味
思いやってほしい。あなたが訪れないまま日を経て降り続く五月雨の中、ひとり家を守って、雨漏りのように濡れる私の袖のしずくを。
鑑賞
巻第七 恋歌上 406

 あなたが訪れないまま日を重ねるうちに降り続く五月雨の中、ひとり家を守って過ごす私の袖からこぼれるしずくを思いやってほしい、と詠む歌である。「ふる」に経ると降る、「もる」に守ると漏るを掛け、長雨と涙とを重ねている。
 伝本の中には、「堀河院の御時艶書合によめる」の詞書を持つものがある。堀河天皇の時代に催された艶書合で詠んだ歌ということになる。
 作者の「京極関白家肥後」は、肥後守藤原定成の娘で、京極関白藤原師実の家に仕えた女房である。堀河百首の作者の一人である。

 初句「思ひやれ」は思いやってほしいの意で、ここで句切れとなる初句切れの歌である。倒置により結句の「しづくを」へと続く。本巻の第三百五十七首の初句と同じ句で、ともに袖の涙を思いやってほしいと訴えている。
 二句「訪はで日をふる」の「ふる」は、日を「経る」の意と、雨が「降る」の意とを掛けており、平仮名のままとした。打消の接続助詞「で」を用いる。
 三句「五月雨の」は陰暦五月の長雨のの意で、二句の「ふる」と縁語をなしている。
 四句「ひとりやどもる」の「もる」は、宿を「守る」の意と、雨が「漏る」の意とを掛けており、平仮名のままとした。
 結句「袖のしづくを」は袖の涙のしずくをの意で、雨漏りのしずくに涙を重ねている。本巻の第三百九十四首の「涙の雨」も涙を雨に見立てている。

ふる:日を「経る」意と、雨が「降る」意を掛ける
さみだれ:陰暦五月の長雨
もる:宿を「守る」意と、雨が「漏る」意を掛ける
作者
京極関白家肥後
出典
金葉和歌集
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見せばやな君しのび寝の草枕 玉ぬきかくる旅のけしきを
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