我が恋は烏羽に書く言の葉の
写さぬほどは知る人もなし
- 歌の意味
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私の恋は、黒い烏の羽に書いた言葉のようなものだ。ほかに写し取らないうちは、それと知る人もいない。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 412
自分の恋は、黒い烏の羽に墨で書いた言葉のように、ほかに写し取らないかぎり誰にも読み取れず、知る人もいない、と詠む歌である。黒い羽に書いた文字が見えないことに、人に知られない忍ぶ恋をたとえている。
日本書紀には、高麗から烏の羽に書いて送られた国書を、王辰爾が飯の湯気で蒸して帛に写し取り読み解いたという話が見え、本歌はこれを踏まえている。
伝本の中には、「百首の歌の中に恋の心をよめる」の詞書を持つものがある。
作者の「顕季」は、藤原隆経の子で、修理大夫に至った藤原顕季である。六条藤家の祖で、白河院の近臣として仕え、歌人として活躍した。
初句「我が恋は」は私の恋はの意である。
二句「烏羽に書く」は黒い烏の羽に書くの意で、黒い羽に書いた文字が見えないことをいう。
三句「言の葉の」は言葉のの意である。巻末の第四百二十首の「言の葉」も同じ語である。
四句「写さぬほどは」はほかに写し取らないうちはの意で、烏の羽の文字を写し取って読んだ故事を踏まえている。
結句「知る人もなし」は知る人もいないの意である。本巻の第三百六十八首、第四百一首の「人知るらめや」と同じく、人に知られない恋を詠んでいる。
からすば:烏の羽
ことのは:言葉
うつす:写し取る
- 作者
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藤原顕季
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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あだなりし人の心に比ぶれば 花も常磐のものとこそ見れ
- 次の歌
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あやにくに焦がるる胸もあるものを いかにかわかぬ袂なるらむ