恋ひわびて思ひいるさの山の端に
出づる月日の積もりぬるかな
- 歌の意味
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恋に思い悩んで物思いに沈むうちに、入佐の山の端から出る月や日のように、月日ばかりが積もってしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 414
恋に思い悩み、物思いに沈み込んでいるうちに、入佐の山の端から月や日が出ては入るように、むなしく月日ばかりが重なってしまった、と詠む歌である。「いるさ」に思い入ると入佐の山を掛け、出入りする月日に恋に過ぎていく時の長さを重ねている。
伝本の中には、作者を大中臣公長とし、「寄山恋といへる事をよめる」の詞書を持つものがある。山に寄せる恋の題で詠んだ歌ということになる。
本巻の第三百六十九首、第三百七十一首も月を恋に寄せて詠んでいる。
初句「恋ひわびて」は恋に思い悩んでの意である。本巻の第三百七十五首の初句と同じ句である。
二句「思ひいるさの」の「いるさ」は、思い「入る」の意と、但馬の歌枕の「入佐」の山とを掛けており、平仮名のままとした。
三句「山の端に」は山の稜線にの意である。
四句「出づる月日の」は出る月と日のの意で、山の端から出る月日と、過ぎていく歳月とを重ねている。二句の「入る」と「出づる」が対をなしている。
結句「積もりぬるかな」は積もってしまったことだの意で、完了の「ぬ」に終助詞「かな」を添えている。
いるさ:思い「入る」の意と、但馬の歌枕の「入佐」の山を掛ける
やまのは:山の稜線
つきひ:月と日。また歳月
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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あやにくに焦がるる胸もあるものを いかにかわかぬ袂なるらむ
- 次の歌
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うたた寝に逢ふと見つるは現にて つらきを夢と思はましかば