立ちながら来たりと逢はじ藤衣
脱ぎ捨てられむ身ぞと思へば
- 歌の意味
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立ったままで来たと言っても、お逢いすまい。喪服の藤衣がいずれ脱ぎ捨てられるように、私もやがて捨てられる身だと思うので。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 418
喪中の人が立ったままでなら訪ねたいと言ってきたのに対し、たとえ立ったまま来たとしても逢うまい、喪が明ければ脱ぎ捨てられる藤衣のように、自分もいずれ捨てられる身なのだから、と答えた歌である。喪服の藤衣に、一時のものとして捨てられる我が身を重ねている。
伝本の中には、作者を橘俊宗の娘とし、「重服になりたる人の、立ちながらまうで来むと申しければつかはしける」の詞書を持つものがある。重い喪に服している人が、座らずに立ったままで訪ねようと言ってきたので贈った歌ということになる。
初句「立ちながら」は立ったままでの意で、喪中の人が座らずに立ったまま訪れることをいう。
二句「来たりと逢はじ」は来たとしても逢うまいの意で、打消意志の「じ」を用いる。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「藤衣」は喪服のことで、四句の「脱ぎ捨て」と縁語をなしている。本巻の第三百六十首の「唐衣」も衣を詠んでいる。
四句「脱ぎ捨てられむ」は脱ぎ捨てられるだろうの意で、喪が明ければ喪服を脱ぎ捨てることと、自分が捨てられることとを重ねている。
結句「身ぞと思へば」は身であると思うのでの意で、已然形に「ば」を付けた確定条件である。
ふぢごろも:藤の繊維で織った粗末な衣。喪服
- 出典
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金葉和歌集
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葦根はふ水の上とぞ思ひしを うきは我が身にありけるものを
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石走る滝の水上早くより 音に聞きつつ恋ひわたるかな