頼めおく言の葉だにもなきものを
何にかかれる露の命ぞ
- 歌の意味
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期待させてくれる言葉さえないのに、いったい何にすがってつながっている、露のようにはかない私の命なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 恋歌上 420
あてにさせてくれる言葉さえあの人からもらっていないのに、この露のようにはかない命は、いったい何にすがって消えずにいるのだろうか、と詠む歌である。言の葉と露の縁で、頼るものもないまま生きながらえる身の心細さを表している。
伝本の中には、作者を皇后宮女別当とし、前歌と同じく恋の心を人に代わって詠んだとするものがある。
本歌は巻第七恋歌上の巻末歌である。巻頭の第三百五十首が恋の道に踏み入った驚きを詠んで巻を始めたのに対し、本歌は頼みとする言葉もないまま露の命をつなぐ嘆きで巻を結んでいる。巻頭の「あやめ草」と巻末の「言の葉」「露」とは、ともに草葉にかかわる景物で呼応している。
初句「頼めおく」はあてにさせておくの意で、相手に期待を持たせることをいう。本巻の第三百六十七首の「頼むれば」も期待させることを詠んでいる。
二句「言の葉だにも」は言葉さえもの意で、副助詞「だに」を用いる。本巻の第四百十二首の「言の葉」と同じ語である。「葉」は結句の「露」と縁語をなしている。
三句「なきものを」はないのにの意で、逆接の「ものを」を用いる。
四句「何にかかれる」は何にすがってつながっているのかの意で、存続の「り」の連体形を用い、露が草葉にかかる意を響かせている。
結句「露の命ぞ」は露のようにはかない命なのかの意で、「ぞ」で強く問いかけて巻を結んでいる。本巻の第三百五十四首の「命なりける」、第三百八十首、第四百三首とも、命を詠む点で通じている。
たのむ:あてにさせる、期待させる
ことのは:言葉
つゆのいのち:露のようにはかない命
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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石走る滝の水上早くより 音に聞きつつ恋ひわたるかな
- 次の歌
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かすめては思ふ心を知るやとて 春の空にもまかせつるかな