いとどしく面影に立つ今宵かな
月を見よとも契らざりしに
- 歌の意味
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いっそうあの人の面影が目に浮かぶ今宵であることよ。月を見て思い出せとも約束したわけではなかったのに。
- 鑑賞
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巻第八 恋歌下 424
月を見て互いを思い出そうと約束したわけでもないのに、今宵は月を見るにつけ、いっそうあの人の面影が浮かんでくる、と詠む歌である。月を見るたびに恋人を偲ぶ心が、約束もなしにおのずからわき起こるさまを表している。
月に恋人を思う歌は、本巻の第四百五十三首、第四百七十首にも見え、月が恋の思いを誘う景物として繰り返し詠まれている。
初句「いとどしく」は、ますます、いっそうの意である。
二句「面影に立つ」は、姿が目の前に浮かぶの意である。
三句「今宵かな」は、今夜であることよの意で、詠嘆の終助詞「かな」で句切れとなる三句切れの歌である。
四句「月を見よとも」は、月を見て私を思えともの意で、恋人どうしが月を見て互いを偲ぼうと約束することを踏まえている。
結句「契らざりしに」は、約束しなかったのにの意で、打消の「ず」、過去の「き」に逆接の接続助詞「に」が付いている。
おもかげ:心に思い浮かぶ姿
ちぎる:約束する。男女が将来を約束する
- 出典
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金葉和歌集
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しののめの明けゆく空も帰るには 涙にくるるものにぞありける
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恋ひわびて寝ぬ夜積もれば敷妙の 枕さへこそうとくなりけれ